紙の領収書をやっつける(国税庁にも質問したよ)

2019年初頭に、この紙の領収書をやっつける活動をしていたので、以下の記事は感慨深い。まだまだ、透明性が高くない領域でもあるので、私が調べてきたことを共有したい。みなさんが紙の領収書をなくすDXをするときのお役に立てれば嬉しい。

そもそもなんで紙の領収書をなくそうと思ったのか

前職は社内の業務はデジタル化進んでいるため、そもそも、DXなどという言葉は社内では使われない。必要ないからだ。入社して1回も(入社前の手続きを含めて)紙に何かを記載して提出したことはないし、紙の資料を誰かが持ってきたこともない。全てはオンライン上で業務は行われている(本当は、年末調整にハンコを押すために1回あったが、それもマイナンバーの活用で今後なくなる)故に、社内のことはデジタルで回っているので、「社内と社外間のやりとりも完全にデジタル化しようと思い立ったのだ」

そもそもデジタルデータで受け取る

ここで間違ってはいけないのが「紙の領収書をいかに正確にデジタル化する、または、高性能なOCRやスマホ読み取りの技術を探究する」ことだ。これは、間違ったデジタルトランスフォーメーションのやり方である。紙の現行業務をデジタル化するのではなく、そもそも、デジタルの世界では経費精算はどうなのか、そもそもデジタルでデータを受領すればいいのではないか。と言う発想が必要だ。

法人クレジットカードが現時点では最良

現時点では、クレジットカード一番利用できる加盟店が多いため、法人クレジットカードを自社の経費精算請求支払システムに自動連動させることで「発生日、利用した従業員、利用金額、加盟店名」は、改竄できないし、入力ミスもないデータとしてシステム連動できる。ただ、経費としては、「役務」が必要で、これがクレジットカード連携では取得できないデータだ。何度か、クレジットカード会社に、「加盟店マスターから「飲食費」「タクシー」など、推測して、クレジットカード会社から、「役務」情報も欲しい。あるいは、クレジットカード会社が領収書発行代行会社となって、デジタルデータにて領収書を発行して欲しい。など交渉していたが、なかなか良い返事はいただけなかった。確かに、加盟店が百貨店となると、飲食なのか洋服なのか加盟店名だけでは難しく、クレジットカード会社だけの努力では正確性に欠けたデータとなる。

そこで、出てくるのが電子レシートなのだ

小売業が発行する電子レシートは、私が東急ハンズ時代から経産省の実証実験にも参加し積極的にやってきた。電子レシートが普及すれば、現金であっても経費精算の自動化はできる。ただし、、多くの小売業は自社にメリットを見出せなくて興味を持っていないのが現実だ。

そこで今回のキャッシュレス(バーコード決済)には、単なる決済じゃなくて、電子レシート搭載を心から願う。そして加盟店は、レシート内容も決済データに載せるPOSシステムに改修をしようじゃないか。(このあたりは、POS改修はそんな簡単じゃない、との声がありそうであるが、私は東急ハンズでiPadにてPOSを自社開発した人間だ。はっきり言おう、そんな困難なことでない。POSの改変は大変だと言っているのはPOSメーカの論理だ。)

話を戻そう。経費精算には、現時点では法人クレジットカードにて自社システムにデータ連携であるが、領収書はどういう扱いなのか

国税庁に税理士を通して、無記名質問や複数の税理士に相談した結果、面白い事実が浮かび上がった。

A税理士:法人クレジットカードを利用するのであれば領収書はもらう必要ありません。(理由:クレジットカード明細で経費性は認められるから)

B税理士:法人クレジットカードを利用すれば、3万円未満のものは領収書をもらう必要はありません(理由:消費税法に従ってください。消費税法は法人税法よりも上位概念なのでこちらが正しいです)

C税理士:全部領収書はもらってください(理由:法人税法に従ってください)

この3パターンに分かれる。ちなみに、私がディスカッションをしているのは、国税庁出身の税理士や大手税理士法人のパートナー税理士であり大企業の税理にも詳しい方々だ。ただし、面白いのが、「実際に査察があった時はクジレットカード明細などあれば、領収書がなくても経費性は認められ、追徴課税されるわけではない」と言うのは、A,B,C税理士の共通意見なのである。

どう言うことか

法律の整備が遅れている(ねじれが起きている)としかない。経費性と言うものは領収書があるとかないとかではなく、本当に会社の正当な活動のための経費なのか、と言うことなのである。例えば、海外出張の経費で旅費とホテル代の領収書があれば完全に問題がない、とみなさんは理解していると思う。しかし、旅程などのエビデンスがない場合、場合によっては(実態が視察とあるが遊びに近い内容と認定されれば)、旅費・交通費ではなく「接待交際費」として計上を求められる。そして、接待交際費には限度があるので追徴課税されると言うことだ。つまりは、実態としてどうなのかが問われるのである。

ここらが、今回の法改正によって、よりよい社会・企業の業務に転じることを心から応援している。企業にとって、紙の伝票(領収書、請求書、納品伝票などなど)は、悪(間違い、改善、手間がかかる、保管に場所がいる、検索できないなどなど)の根源であり、デジタルデータの方が、保全しやすくリアルタイムで正確だ。完璧ではないが紙の100万倍良い。

まとめとTips

・法人クレジットカードを全社員導入し、自社の経費・請求システムと接続する(これが現時点で最良の方法)。記事を見るかりぎりこの方法で紙の領収書をもらう必要が正式になくなりそうだ

20年度の税制改正では領収書をデータで発行し、そのままデータで保存することを認める。紙の領収書をカメラで写してデータにするのではなく、取引内容や金額、日付などの決済データそのものを領収書として扱えるようにする。改ざんを防ぐため、外部からのデータ書き換えができないクラウドサービスでデータを管理することを条件とする。経費精算用のクラウドサービスを決済サービスのサーバーとつないでおけば、カードや電子マネーでの支払い履歴を手入力しなくてすむ。

・そもそも、経費精算業務をなくし、請求支払い業務に転換する。旅費などは、SaaSの旅程管理システムを導入し、「社員が立替をする業務を極力減らし、請求書にて処理する」経費精算ではなく、請求書処理に業務変更する(ただし、請求明細はエビデンスとしてしっかりしたものをデータ連携することが条件だ)

・法人クレジットカードは(発行枚数に夜が)、ちゃんと商談すれば、年会費は0円。どころか、キャッシュバックがあるので企業は得するぞ。

以上、素晴らしいデジタルトランスフォーメーションにて、安心・安全・正確・リアルタイム・気持ちの良いの職場を作っていこうではないか!

ロケスタ株式会社 代表取締役社長 長谷川秀樹

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